2012.06.03

ストレイト・ストーリー

アメリカの片田舎で娘と二人で暮らす老人アルヴィン。
10年前に喧嘩別れした兄ライルが倒れたという知らせを受けたが、兄の住む場所までは500km。
自分も娘も車を運転できず、他人の力も借りたくないので、農業用トラクターで向かうことにした。

話は1つ、老人が一人でゆっくりと兄の元へ向かう、ただそれだけ。
それだけなんだけど、その旅の途中が良い。

両手で杖をつかなきゃ歩けないのに、
誰かに頼んで車に乗せてもらえば2日で着くのに、
自分の力で行きたいと、唯一運転できる芝刈り機みたいなやつに物置をくっつけた。

歩くよりは速いけど、自転車より遅い。
そんな速度。

周りには畑しかないような道ばかりで、出会う人も稀。
ゆっくりと進んでいるからこそ、その1人1人に向き合うことができた。
そしてその中で、自分のことも振り返る。

途中で会った若者に、老人になって最悪なことは?と尋ねられて、
若い時のことを覚えていること、と答える。
そのとき、理由は明かされないが、後でわかる。

自分の戦争体験や、娘が障害者と間違われて受けている差別。
そういった心に抱えているものを、旅の途中で振り返る。

他人には容易に理解されたくないから、頑固なのだろう。

でも、過去は過去で、今は今。
過去に何があっても、大事なのは今だ。

喧嘩別れしたままの兄に、自ら会いに行く。
自分でそう決めたから、それは絶対に曲げない。

ラストが良かった。

会うことの大切さは、何にも代えがたい。
電話や手紙じゃ伝わらない、言葉でも伝えられない空気がある。

ストレイト・ストーリー
監督:デイヴィッド・リンチ
出演者:リチャード・ファーンズワース、 シシー・スペイセク、 ハリー・ディーン・スタントン
収録時間:111分
レンタル開始日:1999-01-01



2012.06.03, 11:25 / ☆☆☆☆☆
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