2011.04.23
BOY A
幼いころに重罪を起こして長らく刑務所にいて、
出所してジャックという新たな名前で、犯罪歴を隠して外での生活を始める。
しかし、出所したことが報道され、世間は彼を探そうとする。
少年犯罪のその後の話ではあるが、切ない。
彼自身は凶悪犯罪に手を染めたとは思えないほど、弱気だし優しい。
大人になってからの新しい生活を中心に描かれる。
そこでの彼の悪友と遊びまわる姿が、時々差し込まれる少年時代と変わらない。
極悪なことをしてるわけでなくても、自分の意志で動かないのが見ていて怖い。
自分の意志じゃなくたって、少年Aとして扱われるし、過去の犯罪は永遠につきまとう。
過去は永遠に許されないのか?と虚しくなってくる。
過去の真実を全て嘘で上書きしないと、生きていけない。
自分がそうしないと生きていけないというのではなく、世間に生かしてもらえないのだ。
なんせ、過去を許さない人々が命を狙ってくるのだから。
本当に愛する人にまで嘘をつき続けなければならないのもツライ。
いくら更生したって、過去のことを忘れるのは難しい。
記憶喪失にでもなってくれない限り、嘘をつくことに対する罪悪感が上積みされていく。
そこまでして生きていく意味があるのか、考えてしまう。