2008.10.25
善き人のためのソナタ
東ドイツ国家保安局のヴィースラー大尉が、
劇作家・ドライマンが反体制派ではないかと疑い、
その証拠をつかむために24時間体制で盗聴を行う。
国のために、というただ1点だけで、
拷問のような尋問を冷徹に行うことができるヴィースラー。
冷たく厳格に東ドイツを愛する彼が、
盗聴し続ける中で、ヘッドホンの向こうに惹かれていく。
その人間的な部分が少しずつ見えてくるのが、おもしろい。
「善き人のためのソナタ」に惹かれたのは、その中の小さい1つ。
恋人であり女優のクリスタとの愛に惹かれ、
友人たちと自由な思想を語るところに惹かれ、
芸術を愛する心に惹かれ。
命令に従って生きるだけの自分と比べて、
人間らしい世界に惹かれていったのは、自然なことだろうな。
盗聴とか、体制とか、内容は暗いし、
静かで淡々としているけど、なかなか人間くさい映画だった。