2007.06.09

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

予想を遥かに超えて、意外に良かった。
 

父親が天才数学者、でも晩年イカレてしまう。
彼の娘も数学者、自分がイカレてしまわないか、不安に苛まされている。

父が逝ってしまった後、研究の痕跡を辿りに来た青年との話。

いろいろと共感できる部分と、羨ましい部分があり、
思っていたよりもずっと入り込めてしまっていた。
 
まずは父親、教授。
本当はメインではないと思うのだけど。

自分が輝いていたのは、遠い過去となってしまい、あとは老いるのみ。
老いるだけならまだしも、精神的にやられてしまうのだ。
自分で自分が抑えられないというのは、恐怖だろう。

でも、そういった一癖持った人間のほうが優れている、
というのが私の個人的な意見で、だから彼の才能は単純に羨ましい。
たとえそれが欠陥と引き換えであっても。

父と同じ数学の道に進んだ娘も、才能を比べられ、病も比べられ、
偉大な父が邪魔者でしかなくなっていた時期もある。
偉大な人の、人間くさい部分を知っているからこそ、辛い立場。

この立場になることはイヤだけど、でも彼女が羨ましい。
才能を引き継いだだけでなく、姿勢を指導され、何より成果を出せている。。
親と比べられる道に進みながら、それに負けなかった強さ、すばらしい。

そしてあのムカツク姉・・・
追究する心を持たず、世話を焼いてあげる、と恩着せがましい。
あの人がいたことで、研究者陣にさらに共感した部分もあるような気がする。

そして教授の才能を慕って研究室にいた学生くん。
自分には才能はないとわかっていても、他人の才能に触れていたい。
自分にないものを持っている者に惹かれ、宝物を無駄にすることは許せない。

すごく良い青年ではないか。カッコいいし。
彼がいなかったら、ものすごく暗い生活のまま、姉といがみ合って終わってたんだろうな。

 
3人の研究者のキャラクターに共感できたのが、この映画の良かったところ。
もちろん、数学の証明ってどんなことしてるんだろう?とか、
新しい発見ってどういうの?ってことは、全然わからなかったけど。

昔の話と今の話がゴッチャだったり、
もわっとした盛り上がりのままで終わってしまったりした感じはあるけど、
そういうことは置いといて・・・でいいんだと思った。

兎にも角にも、夢中になれることが羨ましいのである。
 


2007.06.09, 01:51 / ☆☆☆☆☆
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