孤島の王
ノルウェーのバストイ島に、少年たちを更生させるための施設がある。
規律を重視した集団生活をし、厳しい肉体労働をして過ごす。
そこで寮長の行為により少年が自殺したことで、少年たちが反乱を起こす。
宣伝間違えてるなーと思うのだが、ミステリー・サスペンス要素はゼロだし、アクション映画でもない。
完全に人間ドラマを描いたものである。
刑務所じゃないのに、少年たちは番号で呼ばれる。
最初は何としてでも脱走したいC19の暴れっぷりばかり描かれていたが、それは序章。
卒院間近のC1は自分は問題に絡みたくないから、C19に更生させようと近づき、C19も次第に心を許していく。
C19と同時期に入ってきたC5が悲劇。
体の弱いC5は、寮長に気に入られてしまい、おそらく性的虐待を受けてしまうのだ。
直接描かれていないのでハッキリしたことはわからないが、歌の練習に一人呼び出され、泣いて帰ってくる。
そこからの展開が、この映画の核心。
C1は寮長の行為を院長に報告するのだが、聞き入れてもらえない。
それにより、自分たちを理不尽なまでに指導してきた大人自身が、そもそも卑劣だったことを知るのだ。
そして何も大人が対応してくれなかったことで、C5は自殺してしまう。
それを自殺ではなくて心が弱かったからだと決め付ける大人たちを、少年たちは何とか懲らしめようと企む。
そうこうしている間に、C1の卒院の日がやってくる。
しかし、最後にC5が死んだのはリーダーであるC1の責任だと、院長も責任を押し付けてくるだけ。
良い子で通そうとしていたC1もキレて、とうとう反乱を起こす。
指導者である大人がいかに汚いか、非行少年たちにも純粋な心はあること、
そんな当たり前のことが、ここまでの事件を引き起こしたのだ。
もともと刑務所ではないし、ある程度は体の自由がある環境で労働をしていた少年たち。
それを数人の大人だけで管理できていたのは、少年たちに反抗心がなかったからだ。
気持ちが変われば、あれくらいの反乱は簡単な環境だった。
起きるべくして起きた事件ではあるだろう。
だが、これが実話だというのが、やっぱりすごい。