別離
イランのテヘランで良い暮らしをしている一家。
11歳の娘テルメーの教育のために海外移住を望む妻シミンは、
アルツハイマーの父を残していけないという夫ナデルと意見が合わずに離婚を申請する。
そんな中、敬虔なイスラム教徒がトラブルに遭う話。
神に誓って真実を話すことができるのか?
家族のことをどれだけ真剣に考えてあげられているか?
そういったテーマだけなら、宗教は違っても、共感できる部分もあると思う。
だけど、とにかく、うるさい。
ナデルが妻の知人の女性ラジエーを、父親の世話係として雇う。
そこでのトラブルによる裁判が後半のテーマなのだが、ラジエーの夫がとにかくうるさくてイヤだった。
裁判だろうと学校だろうとズカズカ入り込み、大事な話をしているところに大声で割り込み、
自分が無職である引け目からか、他者を侮辱し続ける。
自分が不利になると大声で押さえ込もうとして、ムリヤリな正当性を主張して騒ぐ。
他の人もクレイジーだって言っててホッとしたけど、これがイスラム教徒、これがアラブ人だと思う人も多かろう・・・。
妻シミンも、けっこう人間的にどうなの?と思う場面が多かったな。
自分が娘を連れて出て行けると思い込んでて、それができないとわかると騒ぐし、
夫が罪を着せられそうになっているのを、お金で解決しようとするし、それが自分のためだし。
そういうイヤな気持ちになる場面は、イスラム教とは関係なかった。
イスラム教としては、家の外でスカーフを着用することや、男性と女性が厳しく分けられていることが描かれている。
必要に迫られて異性の身体を見ることについて戒律違反にならないか問い合わせたり、
まだ幼い子までスカーフをつけていたり、かなり厳格なイスラム教徒のようだった。
物語の根幹部分としては宗教は関係なかったが、
全体としてイスラム教徒ということが色濃く描かれていて、深く印象に残った。