2022.04.29
C’MON C’MON
ニューヨークでラジオジャーナリストをしているジョニーは、 妹が別居中の夫に会いに行く間、甥っ子ジェシーの面倒を見ることになった。 繊細でちょっと変わり者のジェシーに、子育て経験のないジョニーは戸惑う。 ジョニーは仕事で、子供たちに未来のことなどを日々インタビューしている。 そこでの子どもの心の叫びのような、真を突いた言葉と、 ジェシーの言葉とが重なり、ジョニーはなるべく真摯に向き合おうとする。 なのに、子どもというのは思いもよらない行動をとるし、 ジェシーは9歳で、そんなに素直に言うことを聞く年齢でもない。 どっちが大人なんだと思うくらい、 ジェシーとジョニーの落ち着きっぷりが逆転することもある。 そういう姿を見ていると、大人も子どもも変わらない、と思う。 子どもの頃なんて、大人になったら全くの別の人間になると思っていたが、 実際には、大人になるにつれて、経験を積んで視野が広がる部分はあるにせよ、 元来持っていた素直な思考が汚されていくほうも多くて、 プラマイしたら純度が下がっただけ・・・ そんなことに気付かされた映画だった。 もちろん、経験を重ねること自体は良いことだと思うけど、 人間が本来感じる気持ちをもっと大事にしたいし、 人と向き合うときは、ちゃんと人間として、人間らしくいたいなと思った。 子育てしてる人が見たら、子育て映画だと思っちゃうのかもしれないけど、 わたしにとっては、汚い大人にならないように気をつけないとなと反省する映画だった。 『カモン カモン』 (原題:C’mon C’mon) 監督・脚本/マイク・ミルズ 出演/ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト 音楽/アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル) 2021年/アメリカ/108分/ビスタ/5.1ch/モノクロ/日本語字幕:松浦美奈