2021.04.17
ノマドランド
リーマンショックで企業が倒産し、街が潰れ、 行く当てのなくなったファーンはバンに荷物を詰めて生活を始めた。 60代女性ではあるが、短期の力仕事をして生活費を稼ぐ日々。 同じようにバンライフを送る人々と出会い、交流するが、 深入りすることはなく、自分の人生を生きていく。 ということで、現代における本当のノマドの話だった。 内に秘めた悲しみと、静かな力強さがあった。 旅、というか、生活の途中で、放浪する若者たちとも遭遇する。 彼らは夢を追っていたり、自分探しだったり、ちょっとキラキラしている。 彼らと、必要に迫られて車上生活を送るようになった高齢ノマドたちは、 やっていることは似たように見えても、気持ちが全然違う。 高齢ノマドたちは、世の中から切り離されたり、離れていった者たち。 日本で土手で暮らしてるホームレスとも近いものがある気はするが、 ただ、自分で築いた生活のベースがあるので、そこに対するプライドもある。 少し仲良くなると、家族のもとへ帰ってしまったり、 どうしてもお互いに壁を越えられない関係。 そうすることを選んだ人たち。 ただ、人間が嫌いなんてことはない。 ただ勇敢で素直なだけ。 そういったファーンの姉の言葉が強く刺さった。 ノマドという言葉にキラキラさは微塵もなく、 自由と引き換えにしたものがあることが強く描かれていて、 リアルさを痛いほどに感じたが、実際のノマドが多数出演していて、 いわばドキュメンタリーのような映画だったのだと、後で知った。