2011.01.01
ベルサイユの子
生活保護も受けられない若い母親と、幼い男の子エンゾ。
迷い込んだ森の中で暮らすホームレス・ダミアンに出会い、
彼のところにエンゾを置き去りにする。
見ていて痛い話である。
何百万人も失業者がいるフランス。
保護政策も間に合わず、ホームレスになるしかない。
早くもそんな社会に諦めをつけた人々が、
ベルサイユ宮殿の森に隠れ、ホームレス生活を送っていた。
ダミアンの男臭さがカッコイイ。
エンゾにも素っ気なく接していたのに、だんだんと父親の顔になる。
子どもがいることが支えになることもあるはずだけど、
極限の状態では、働く上での障害になる。
それが悲しい。
母親も、ダミアンも、仕方なかったのだと思う。
だからこそ、苦しい。
ダミアンを演じていた俳優ギョーム・ドバルデューは、義足だったらしい。
足を引きずっていたのは演技ではなかったようだ。
そして、2008年に37歳の若さで亡くなっている。
あんなにいい身体してても健康ではなかったようだ。
見終わってから、映画から受けた苦しさと、
ギョーム・ドバルデューという俳優を知ったことの苦しさがあり、
なかなか暗い気分になってしまった。