2023.03.11
ひとりぼっちじゃない
歯科医ススメはつかみどころのない不思議な女性・宮子と付き合っていた。 宮子と一緒にいることで、自意識から解放される気がしていた。 しかし、宮子には別の親しい人たちが見え隠れし、嫉妬に思い悩む。 原作を先に読んでおいてよかったなって思った。 おそらく、読んでいなかったらわからなかったのではないだろうか。 宮子とどう出会って、どうして惹かれていったのか、 ススメの歯科医院での立ち位置や同僚との関係、 蓉子とのスーパーでの関係性、 そういう前提部分がだいぶ省かれていた、というか、無かった。 逆に、原作では感じ取れていなかった部分で、映画ならではと感じたのが、 宮子の部屋の木々やベランダの物置など。 完全にもっと狭いベランダのイメージだったし、木々もあそこまでとは思わなかった。 だから、異世界という感じがより強くなり、現実離れした空気感をまとい、 現実なのか現実じゃないのか、狂気なのか、妄想なのか、 みたいな、ホラー感が少し足されていたように感じた。 単純に私の想像力不足といえば、そうなんだろうけど。 そして、井口さんの演技、今まで見たことのある作品とレベルが違って良かった。 なんというか、全くわざとらしさのない自然体であったし、 さらに、普段の井口さんとも違うし、King Gnu味は全然感じなかった。 そこが一番想像と違って良かったところかもしれない。 ぎこちない人間を自然に演じるって、もう訳わからないけど、実際そうなのだ。 思ったよりも2段くらい良い映画だった。 きっかけは井口さんだったし、だから原作も読んでたわけで、 そのベースがあった上で、ではあるけど、普通に映画として良かったと思う。 ひとりぼっちじゃない https://hitoribocchijanai.com/ 監督 脚本: 伊藤ちひろ 出演: 井口理、馬場ふみか、河合優実、相島一之、高良健吾、浅香航大