ぼくたちのムッシュ・ラザール
小学校の教室で、担任の先生が首吊り自殺をし、登校した少年シモンが見てしまった。
彼は先生に嘘をついて困らせていたので、自分のせいじゃないかと悩みながらも、攻撃的な行動が続く。
そこに新しい先生バシールがやってきたが、アルジェリア人の彼もまた、悲しい過去を持っていた。
人の死にどう向き合うか、というだけではなくて、いじめや教育など、学校はいろいろな問題を持っている。
カウンセラーがカウンセリングすれば済むのか?というのも疑問だし、
だからといって、積極的に話すことで癒されていくとも思えない。
そんな中で、バシールは自己流の授業をして、生徒の話にもきちんと耳を傾ける。
飄々とした姿勢の彼にも、大きな悩みと大きな悲しみがある。
カナダの永住権を持っていると嘘をついたが、まだその段階にはいなかったのだ。
子ども達が先生の死を乗り越えてハッピーになったというような話ではない。
きっと一生トラウマが残ってしまう生徒だっているだろう。
ただ直後にバシールが来たことで、少しは気が紛れたりしたのではないだろうか。
解決なんてないけど、それでもバシールと子ども達が向き合う話。
ジェーン・エア (2011)
幼い頃に両親を亡くし、引き取られた伯母の家ではいじめられたジェーン・エアは、
結局、寄宿学校に入ったものの、そこでも教師達にいじめられてしまう。
強く生きるジェーンは、住み込みの家庭教師として貴族の家に入る。
そこで、彼女の率直な言動にロチェスター卿が好感をいだき、次第に惹かれあっていく。
恵まれない境遇にいて、それでも自分というものを大事にしている彼女。
ロチェスター卿も、ある意味、恵まれない境遇である。
後々明かされていくが、彼のほうがどうにもできないかもしれない。
貧乏であっても裕福であっても、自分の人生を生きられないと不幸だ。
ロチェスター卿が、意外に真っ直ぐな人で、ものすごく好感度高い。
ジェーンも真っ直ぐ素直なので、中盤の二人のシーンが微笑ましくていい。
レールの敷かれた人生ほどつらいものはないし、
それが二人の間に障害として立ちはだかるのは、絶望的な気持ちになる。
最後はうまくいってほしい、と祈りながら見たくらい、入り込めた。