テクノロジーとコミュニケーション
テクノロジーが変える、コミュニケーションの未来
人の精神活動を支える情報通信技術
著: 中津良平
NTTの研究所から大学教授になった著者が講義をまとめたもの。
テクノロジーについて多くの角度からまとめているので、感想は言いにくいが、
なるほどね~と思う箇所はいくつもあった。
日本人の公私混同についてとか、ホントその通りだ!と思ったし、
技術者とアーティストの共同研究に適したプロジェクト形態を模索していたのもおもしろい。
結局、テクノロジーだけじゃおもしろくないのだ。
あくまで使うのは人間だ。
じゃあ何がおもしろいのか?遊びって何?とか考えている本なのだ。
プライベートと仕事の境目がなくなって没入することだって、
テレビゲームに没入することと同じようなもの。
いくら没入していても、震災のようにリアルな出来事によって現実に引き戻される。
CGが発達しても、絵画は滅びなかった。
ネットワークが発達しても、旅行は滅びなかった。
テレビ会議ができても、出張は無くならなかった。
雰囲気や風などから得られる情報までは電子化できていない。
言語だけじゃなく、ボディランゲージから得られる情報も非常に多い。
テクノロジーから得られるものと得られないものがある、ということを教えてくれる。
身体的体験と精神的体験の組み合わせで、おもしろさが生まれることもある。
そう思うと大学時代のPAは、頭を使いつつ身体を使うのがおもしろかった。
頭と身体を使った能動的没入だったんだな。
ITだけを取り上げる本ではない。
なんらかの技術と、それによって得られる効果についての話なのである。