ムカツクからだ
ムカツクからだ
著: 齋藤孝
若者が「ムカツク」という言葉を連発している。
どういう頻度でどういう時に使っているか?というアンケートから、
どういう意味で、何を表現したいときに使っているかを探る。
元々の「吐き気・むかつき」の意味で使われている例は少ない。
何となく嫌だ、という軽い感情を吐き出す手段として使用されている。
何となく嫌だと思う中にも、
他人に直接言えないことに対するムカツキ、
自分自身の力が至らないことに対するムカツキ、などいくつかパターンがある。
ただ、いずれの場合であっても、
他の言葉で言い表すことを放棄したときに発する言葉、として括ることができそうだ。
印象的だったのは、尾崎豊についての話。
おそらく今の若者がムカツクという言葉を発しているときの気持ちは、
尾崎豊も同じように感じていただろうけど、
彼はそれをきちんと言葉にして歌ったことで共感を得ていったのだ。
感情としては同じものを持っていたとしても、表現を放棄すると「ムカツク」で終わる。
アンケートによると、高校生までは使用頻度が高く、
大学生くらいから使うとバカっぽいということに気付き、自主的に使わなくなるらしい。
もう少し気付くのを早めて、せめて中学生くらいまでで終わらせるべきだという。
論文のようでもあり、思ったより読むのに時間がかかってしまったが、
なかなか興味深い内容であった。
このブログ内で検索してみたところ、2回ヒットした。
5年くらいの間に2回だから、使用頻度は低いと言っていいだろう。
ちなみに、2年前の大不況に対して1回、
エジプトのタクシーで合意した料金以上に取られそうになったことに対して1回。
他者が自分の意に反したことをしたときに使う、ってやつだね。