2017.02.11

孤高の人

『孤高の人』の上下巻とも読み終わった。

以前マンガ版を読んだが、時代背景を現代に置き換えているせいか、内容がガタガタで、
ヤングジャンプ連載だったせいか、超人的な要素やエロ要素が強調され、大事なところは飛ばされ、内容がよくわからなかった。

原作である小説のほうが、断然よかった。
マンガでは成り上がりアイスクライマーみたいになっていたが、小説では山歩きの達人だった。
しかも天才ではなく、毎日の厳しい自己鍛錬の賜物である。

加藤の葛藤や心の声に非常に共感できたし、宮村の危うさにはどうにもできない不安を感じた。
正直、最後の宮村の行動が、今の会社のカルチャーに重なってしまってイヤだった部分も多分にあるのだが。

パーティーを組むことによる人間関係の煩わしさがあり、それによって自己犠牲を強いられる。

それを見ると、やっぱり最初から最後まで自分で完結させなければならない単独行のほうが気持ちは楽に感じる。
もちろん責任も大きいけれど、少なくとも他人の命を預かる必要はないし、他人の危険に巻き込まれることもない。

当然、一長一短ではあるけど。
そして、加藤がこれだけの鍛錬を重ねた上で単独行を行っていたことを考えると、本当に気楽に行くものではないと思う。
時代背景が違うから、道具の進化はあるにせよ、人間の力はそう変わらないはず。

加藤の山行を純粋にすごいなと思うし、もっと知りたいと思う。

ということで、次は加藤文太郎の『単独行』を読もうと思う。

 


2017.02.11, 20:51 /
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