未来を生きる君たちへ
デンマークで暮らすスウェーデン人の少年エリアスは学校でイジメにあっていた。
エリアスの父アントンは、医師としてアフリカの難民キャンプで働いていた。
母を癌で失ったクリスチャンが、エリアスの学校に転校生としてやって来たことで、復讐が動き始める。
2つの家族と、生と死の物語。
アントン一家のほうは、復讐なんてしようと思ってなくて、離婚問題のほうが重要問題。
なのに、クリスチャンの「復讐」に巻き込まれてしまっていて可哀そうでもあるが、
エリアスにとっては唯一の友だちだから仕方ないというのが寂しい。
アントンはアフリカの部族間の争いを日々見ているから、
やられたらやり返すのでは解決しないと身をもって知っていて、それを子どもたちに教えようとする。
エリアスと弟はそれを理解するが、クリスチャンはやり返さないと気が済まないと突っぱねる。
では、ただ赦すだけでいいのかというと、そうではないというのがアントンの話。
予告編に出てくる「ビッグマン」という妊婦殺しの悪党が、足の傷が化膿してアントンの元にやってくる。
そいつの治療を始めるが、その土地の人々はなんで殺し屋の治療をするのかと問う。
アントンのビッグマンへの対処は、最後も含めて正解だと思う。
正解なんてないのはわかっているけど、納得できる。
クリスチャンが、母親を亡くしたことで心が荒んでいるように描かれているが、
治ると聞かされていた母親が死ぬことと、やられたらやり返すの精神は関連がないように思う。
もともとナイフや爆発物が好きな子が、ただ歯止めが効かなくなったというべきか。
大人ぶって見せていて、結局クリスチャンがいちばん子ども。
キレる17歳という言葉を思い出した。(エリアスもクリスチャンも小学生だけど)
そういう内にある暗さが前面に出ているので、暗くて辛くて寂しい話。
ただ、ものすごく考えさせられる。