2011.02.13

アイガー北壁

1936年、ナチス政権下、ベルリン五輪で威信を示すべく、
アルプスの最難所であるアイガー北壁を登頂したら金メダルということになった。
過熱する報道の中、登頂を目指す若者たちの悲劇の実話。

アイガー北壁と聞いて、登山という言葉が浮かんでしまっていたが、
あれは完全にロッククライミングだったのね。

血気盛んな若者を、独裁政権が後押しして、
登攀成功か悲劇の死のどちらか劇的な結果のみを報道が追い求める。

ジャーナリストとクライマーの一人が恋愛関係だったというのも、
昔付き合ってたんだろうな、と思わせる場面はあったけど、
それほど色濃くは出てこない。

あんな寒々しい垂壁なのに、装備が貧弱すぎるのが見ていて怖い。
手作りの器具もあるし、手袋は毛糸だし、寝袋は薄い皮?
そもそもロープが切れそうだったり。

でも、やっぱり器材に命を預けないと登れないのは変わらない。
そんな状態だから、自分の力だけではなく、確実に運が必要である。

力の不足した人が一緒にいると、自分の命も危ない。

オーストリアチームが近くにいなかったら・・・?と考えてしまう。
あれほど天候が急変するんだったら、ムリだったか?
それでもあの2人だけだったら無事に下山はできていたか?

そういう可能性も思ってしまうほど、悲劇だった。
運がなかったとしか言いようがない。

吹雪、雪崩、落石、凍傷、・・・気楽な要素は何一つない。
足場もない、負傷者がいる。

見ていて怖くてしょうがなかった。

アイガー北壁、母と旅行したときに見た。
映画の中にも出てくる登山列車で観光をした。
まさに劇中の観光客のように、気楽な旅行だった。

そのすぐ横にこんなドラマがあったとは、知らなかった。
知っていたら、もっとあの場所を楽しめただろうと思う。
母よ、申し訳ない。


2011.02.13, 10:55 / ☆☆☆☆
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