2011.01.29

秘境に学ぶ幸せのかたち

秘境に学ぶ 幸せのかたち
著: 田淵俊彦 (テレビ東京「世界秘境全集」ディレクター)

ものすごくおもしろい本だった。
借りる前にパラパラと中身を見て決めたけど、
そのときに抱いた期待値を上回っていた。

南米アマゾン、ヒマラヤ、アフリカの大地、インドネシアの秘境、パタゴニア・・・

近代化の波に乗っていない辺境の地に住む人々、
独自の文化を大事にしている人々、
そういう人たちにとっての幸せとは何か?を追うドキュメンタリー。

当然のことながら行ったことのない場所ばかりだったし、
もしその地名の場所に行ったとしても、
ローカルの人にここまで近づけるかわからない。

こういう感覚が欲しくて、私は旅に出かける。
だけど、私が得ているものよりも、もっと深いものを見せてくれる。

だから、非常に興味深く、楽しかった。

幸せとは何か?

たくさんお金があって、好きな物を買えることが幸せなのか?
物質的に豊かであっても、精神的に豊かでないと幸せにはなれない。

物を持ちすぎるということは、それだけ束縛されているということ。
物を持っていないと、自分に自信が持てず、不安になる状態。

逆に、物を持たないで満足できるということは、
物に代わるものを自分で生み出せるという自信でもある。
それこそが精神的な豊かさであろう。

不便であることが不幸せなのではなく、
その中で自分の力で生きていけることが幸せなのだ。

もちろん現実が厳しくて、それに従わなければいけないだけかもしれない。
だけど、どうせ厳しい中で生きるのであれば、
その中に意味を見出し、納得して生きていきたいということ。

こうして描かれた人間の強さを見ていて、
厳しい自然の中で弱肉強食の関係に生きる動物の姿を思った。
命の大切さは、そこから何も変わらないはずなのだ。

便利になって感覚ばかりが麻痺していく世界がある一方で、
生き物としての感覚をしっかりと残している世界もある。

一概にどちらが優れているとか言える問題ではない。
ただ、失ったものが何か、認識させてくれることは確かである。
 


2011.01.29, 12:58 /

One Response to “秘境に学ぶ幸せのかたち”

  1. […] ろいろ。 アジア・イスラムの異国情緒を少しずつ切り取った感じ。 前に読んだドキュメンタリーを作ってる人の本と違って、深く入り込まない。 普通の観光客と同じく、ちらっと見て […]