消えた声が、その名を呼ぶ
第一次世界大戦時のトルコで、アルメニア人の虐殺が行われていた。
夜中に突然連行されたアルメニア人のナザレットは、奴隷のように働かされる。
そこでキリスト教への改宗を拒否した人は皆、喉を切られて殺された。
ナザレットは喉を刺されながらも奇跡的に生きていたが、声を失ってしまった。
砂漠で水も食料もない中で奴隷のように働かされる期間、
声を失ってから、砂漠を脱出するまでの期間、
娘が生きていると知り、国をまたいで探し回る期間。
大きく3つに分かれているけど、それぞれ長いので、見応えがある。
声を失っていなくても、物語は成立する。
ただ、声が出ないことで訴える力は強くなっている。
やっぱり、砂漠で彷徨うのが、見ていていちばん辛い。
砂漠で死ぬか働くかの選択しかない、奴隷のような扱いを受けるのも当然見ていて辛いけど、
さらに逃げるアルメニア人の女子供を捕まえて、子供の前でレイプしたり、本当に酷い。
しかもレイプは、このトルコだけじゃなく、アメリカのシーンでも出てきたし、本当にイヤだな。
これは100年前の話ではあるけど、今でもISとかボコハラムとかがやってることなんだろう・・・。
差別や虐殺など理由のない人殺し、理不尽なことが嫌いなだけに、本当に不快。
よく生きる希望を捨てないでいられたなと感心するし、
生きていたからこそ、死んだと思っていた娘に会うこともできたわけで、
絶望の中で生き続けることで得られるものがあるかもしれないという可能性を知った。
しかし、やっぱり、自分に置き換えて考えると、絶望になった時点で死んでしまいそうだ。
そこを耐えることができるのは、理由があるからじゃなくて、本能なのかな。
そこが強い。