2014.10.27

それでも夜は明ける

アメリカ北部で暮らすバイオリニストの黒人ソロモン・ノーサップ。
ある日騙されて、黒人を奴隷とする南部へ連れ出され、売り飛ばされる。
奴隷として命の危険に直面しながらも、非情な白人に屈服せず、何とか生き抜こうとする。

これを見ると、白人が嫌いになってしまう・・・。
もちろん全員が悪魔じゃないとわかってはいるし、良い人も出てきたけど、悪い面が強すぎる。
ナチスのユダヤ人虐殺とか、ルワンダのツチ族虐殺とか、今で言えばISISの殺戮とか、そういうのと同じ類。

単に差別なんてもんじゃなく、ムチ打ちは肉が見えていないとダメとか、
少し失敗したらすぐ縛り首で晒されるとか、殺すことを楽しんでいるような場面が多くて、気持ち悪い。
触るのもイヤだという差別じゃなく、女性はレイプの対象だし、気持ち悪い。

そんな中でよく諦めなかったなと感心する。

多くの人が諦めて屈服してしまうのもわかるし、死んだほうがマシという考え方もわかる。
あそこから逃げ出すことができる気がしない。

ノーサップの場合も、逃げ出すのに12年もかかったにせよ、
元々北部にいたから救われたわけで、そうじゃなかったら頭が良くても抜け出せないだろう。

というか、頭が良ければそれだけ嫉妬心を煽ってしまうので、殺されるのも早いだろう。

95%くらいの時間、白人たちが気持ち悪くて、見ていてイライラする。
最後はあっさりと終わっていき、感動もしないし、すっきりもしなくて、モヤモヤが残る。

アメリカってこういう歴史もあるんだなと改めて思いつつ、
日本も差別問題はあるけど、このレベルでは実態を知らないな・・・と思った。
日本のは虐殺とかじゃなくて、もっと陰湿なタイプだよな。

それでも夜は明ける
監督:スティーヴ・マックィーン
出演者:ブラッド・ピット、 キウェテル・イジョフォー、 マイケル・ファスベンダー、 ベネディクト・カンバーバッチ、 ポール・ダノ、 ルピタ・ニョンゴ
収録時間:134分
レンタル開始日:2014-10-02



2014.10.27, 23:19 / ☆☆☆☆

4 Responses to “それでも夜は明ける”

  1. とみざわ より:

    この作品の裏返しとして、タランティーノの「ジャンゴ 繋がれざる者」という
    作品があります。

    とにかく血が出まくる映画ですが、「それでも世は明ける」を踏まえていると、黒人差別者のWASPが痛快に抹殺され、黒人観客が拍手喝采した痛快作品です。

    まあ、スピルバーグの「リンカーン」のほうが、天才ダニエル・D・ルイスによる
    リンカーン演技が見れて良いかもしれません。

    • mera より:

      抹殺ですか^^;
      痛快なのは良いですね

      リンカーン、前に飛行機であ!っと思って見てたのですが、
      ヴァンパイアハンターの話で間違ったことがありました・・・

      その後、スピルバーグのリンカーンも見ましたよ

  2. とみざわ より:

    リンカーンが吸血鬼と戦う映画…ありましたね。

    ++++
    「それでも世は明ける」は実話で、知識階級の黒人による手記を元にしているため、「史実を伝えた」という面でも、貴重な作品かと思います。

    ブラッド・ピットが協力していなかったら、制作自体できなかったという秘話が
    ありました。

    まだまだ、黒人奴隷の話は「アメリカの黒歴史」ということで、ハリウッドではタブーなのでしょう。

    • mera より:

      ブラピのことは前にテレビで見て、それで印象に残ってました。
      こういう黒歴史を公開するのに、まだまだハードルが高いというのも、気味悪さを増幅させる要因だったかもしれません。