それでも夜は明ける
アメリカ北部で暮らすバイオリニストの黒人ソロモン・ノーサップ。
ある日騙されて、黒人を奴隷とする南部へ連れ出され、売り飛ばされる。
奴隷として命の危険に直面しながらも、非情な白人に屈服せず、何とか生き抜こうとする。
これを見ると、白人が嫌いになってしまう・・・。
もちろん全員が悪魔じゃないとわかってはいるし、良い人も出てきたけど、悪い面が強すぎる。
ナチスのユダヤ人虐殺とか、ルワンダのツチ族虐殺とか、今で言えばISISの殺戮とか、そういうのと同じ類。
単に差別なんてもんじゃなく、ムチ打ちは肉が見えていないとダメとか、
少し失敗したらすぐ縛り首で晒されるとか、殺すことを楽しんでいるような場面が多くて、気持ち悪い。
触るのもイヤだという差別じゃなく、女性はレイプの対象だし、気持ち悪い。
そんな中でよく諦めなかったなと感心する。
多くの人が諦めて屈服してしまうのもわかるし、死んだほうがマシという考え方もわかる。
あそこから逃げ出すことができる気がしない。
ノーサップの場合も、逃げ出すのに12年もかかったにせよ、
元々北部にいたから救われたわけで、そうじゃなかったら頭が良くても抜け出せないだろう。
というか、頭が良ければそれだけ嫉妬心を煽ってしまうので、殺されるのも早いだろう。
95%くらいの時間、白人たちが気持ち悪くて、見ていてイライラする。
最後はあっさりと終わっていき、感動もしないし、すっきりもしなくて、モヤモヤが残る。
アメリカってこういう歴史もあるんだなと改めて思いつつ、
日本も差別問題はあるけど、このレベルでは実態を知らないな・・・と思った。
日本のは虐殺とかじゃなくて、もっと陰湿なタイプだよな。
この作品の裏返しとして、タランティーノの「ジャンゴ 繋がれざる者」という
作品があります。
とにかく血が出まくる映画ですが、「それでも世は明ける」を踏まえていると、黒人差別者のWASPが痛快に抹殺され、黒人観客が拍手喝采した痛快作品です。
まあ、スピルバーグの「リンカーン」のほうが、天才ダニエル・D・ルイスによる
リンカーン演技が見れて良いかもしれません。
抹殺ですか^^;
痛快なのは良いですね
リンカーン、前に飛行機であ!っと思って見てたのですが、
ヴァンパイアハンターの話で間違ったことがありました・・・
その後、スピルバーグのリンカーンも見ましたよ
リンカーンが吸血鬼と戦う映画…ありましたね。
++++
「それでも世は明ける」は実話で、知識階級の黒人による手記を元にしているため、「史実を伝えた」という面でも、貴重な作品かと思います。
ブラッド・ピットが協力していなかったら、制作自体できなかったという秘話が
ありました。
まだまだ、黒人奴隷の話は「アメリカの黒歴史」ということで、ハリウッドではタブーなのでしょう。
ブラピのことは前にテレビで見て、それで印象に残ってました。
こういう黒歴史を公開するのに、まだまだハードルが高いというのも、気味悪さを増幅させる要因だったかもしれません。