女の旅
江戸後期から明治時代にかけて、まだ女性が旅をすることが難しかった時代に、
日本や外国を旅した11人の女性たちの人生を描いている。
自分では歴史の本を手に取ることは少ないが、女性・旅というテーマ。
せっかく頂いた本なので、もったいないので1日1章(1人分)ずつ、チビチビと読んでいた。
旅といっても、景観や文化を楽しむことが目的の旅ができる時代ではない。
まず交通手段がないし、男尊女卑というか女は引っ込んでろっていう時代だし。
イザベラ・バードというイギリス人が日本を旅した話が、唯一、現代の旅と同じ匂いがする。
この1人以外は、日本人10人の人生が描かれている。
江戸時代の俳人である菊舎の話は、この後の人たちとは違って、平和な放浪旅。
そういった意味では、イザベラ・バードと同じく、現代の旅と通じるものがあるかもしれない。
その他の人は、時代背景や政治の影響が濃く、旅というより人生そのもの。
一番印象に残ったのは、津田梅子のアメリカ留学の話かな。
日本に帰ってきてからのカルチャーショックは、もちろん今と比じゃないだろう。
今では留学生も帰国子女もたくさんいるけど、当時は孤独だったろうなぁ。
あとは、旅というとちょっと違うかもしれないけど、富士山の頂上での気象観測をした千代子。
冬山登山なんて命知らずなことを、夫について行くためとはいえ、実行してしまう。
命をかけて、人生をかけて、自分で選んだ道を進んでいく強さを感じた。
出てきた旅は、徒歩から始まり、電車、船まで。
飛行機はまだ登場していないし、楽しむための旅だって始まったばかりといったところ。
戦後に女性が働くようになってから、そういった旅がメジャーになったようだ。
私自身、自分で気軽に行ける時代じゃなきゃ、趣味が旅行なんて言えない。
人生をかけるんじゃなくて、趣味で旅に出ることができる時代でよかった・・・かな。
翻弄されて他人と違った経験をするのも、傍から見てると良い経験のように見えるけどね。
読んでいて「旅行」と「旅」は違うのだと感じました。
イザベラ・バードは相当虫に悩まされたようなのですが、
以前、台湾にいった友人に、ホテルの戸を全部閉め、蚊取り線香をつけとたら(ホテルの人に焚く、と告げたそうです)、わらわらと虫が出てきて、初めて南京虫を見た
といってました。
旅行も旅も、どこかに行ったあと、戻ってくることまで含まれているイメージでしたが、昔の旅は戻らない覚悟で行くものなのが違うかなと思いました。
旅行は連れてってもらうもので、旅は主体的に行動するものだと、お世話になってる旅行会社は定義してました。
虫は今でも場所によっては大問題ですよね。
殺虫剤や虫除けの他、蚊帳やスリープシーツを持ち歩くのはあっても、ベッドを持ち歩くという発想はなかったです。
「持ち歩けるベッド」があるとは、驚きです。
床や畳に布団を敷いて寝る日本が特殊なんでしょうね。
組み立て式の寝台って、持ち歩けるベッドで合ってますよね?マットじゃなくて布張りのようですが。
確かに床に寝るとか、床に座るとか、特殊ですね。非日常だと、寝袋が近いかもしれないです。