2012.07.30

バビロンの陽光

フセイン政権崩壊後のイラク、戦争から戻ってこない父親を探しに、
少年アーメッドは、祖母と二人で900km離れたナシリアにある収容所に向かった。

イラクの現実がイラク人監督により、イラク人の出演で描かれている。
戦争により映画産業が完全になくなったあとで、
現状を何とか伝えるために、誘拐などの危険な目に遭いながらも撮影を続けたそうだ。

アーメッドがちょこまかと元気のいい少年で、
7歳くらいかな?って思ってたけど、12歳ということで少々ビックリ。

勝手に、厳しい環境の子どもって大人びた感じになるものだと思ってたけど、
アーメッドはお坊ちゃんなんだろうか?と思うくらい子どもっぽい。
きっと祖母の愛情をたくさん受けて育ったんだろう。

ただ、描かれるのは厳しい生活。

父を探すために『集団墓地』へ行けと言われる。
東日本大震災のときの遺体収容所のようなものかと思った。

しかし、それがどういう所なのか、最後の最後にわかる。
ただ無造作に遺体を捨てたと思われる場所・・・
だから、また集団墓地が見つかったらしい、というような表現なのだ。

信仰心の厚い祖母が絶望に落ち、アーメッドに対して息子イブラヒムの名で呼びかける。
もう意識が朦朧としている祖母に対して、アーメッドもどうしていいかわからず、
ただ、ひとりぼっちにしないで!と泣きつく。

こんな絶望的なエンディングでいいのだろうか?と思ってしまうが、これが現実なのだ。

数百万人が行方不明のままで、何十万の身元不明の遺体があり、
それだけの人の帰りを待っていた人が悲しみから抜け出せずにいる国。

それがイラク・・・

バビロンの陽光
監督:モハメド・アルダラジー
出演者:ヤッセル・タリーブ、 シャーザード・フセイン、 バシール・アルマジド
収録時間:90分
レンタル開始日:2012-01-25



2012.07.30, 23:59 / ☆☆☆☆
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