アレクサンドリア
古代エジプトに実在した天文学者ヒュパティア。
ユダヤ教の地にキリスト教が入ってきて、両者は次第に憎み合い殺し合う。
教え子がどんどんキリスト教に改宗させられる中、彼女は神ではなく学問だけを信じた。
古代の話なので実話とはいえ、描かれた話も多いことだろう。
でも、その時代にエジプトで学問が盛んで、最先端の考えを持っていたことに驚かされる。
宗教とは関係なく、学問が詰まった図書館が存在したことが素晴らしい。
だから、異教のゴミとか言って、知の価値も知らずに燃やしつくしたキリスト教は野蛮。
崇高なものとかキレイなものを感じることなく、破壊しつくしていく様子が、見ていて悲しかった。
弟子からヒュパティアに対する愛も描かれるが、宗教に簡単に負ける。
ヒュパティアが一切振り向かないせいかもしれないけど、簡単に群衆の力に負けるのが虚しい。
唯一神の宗教同士が戦うのは怖い。
他を認めない宗教だから、ただのいがみ合いではなく、すぐに殺し合いになる。
神を信じること=人を殺すこと、のように感じるくらいだ。
なぜキリスト教は、学問や芸術などを大切にする人々を認めることができなかったのだろう。
無宗教であることを許さないのは思想を強制することなので、ヒュパティアの抵抗には共感する。
神とは別次元の学問を、別次元のものとして共存させてほしかった。
無宗教が多いという日本では、ヒュパティアの立場がいちばんしっくりくるんじゃないかな。
無宗教というよりは、八百万の神だから、学問だって神になりえる。
自然現象は敬意を抱く対象だから、天文学だって敬意を抱く対象だと思う。
そう考えると、宗教と学問は同列に考えられてしまうものなのか・・・
見ていて痛い映像や、理解できない感情が多かったが、いろいろと考えさせられる映画だった。