2022.06.19

メタモルフォーゼの縁側

本屋でバイトをする高校生のうらら。
ある日、老婦人の雪がレジに出したのはボーイズラブの漫画だったので、うららは驚く。
雪は表紙の絵が気に入って買っただけだったが、読んでみて恋物語にワクワクする。
続きを買おうと本屋に向かい、うららに教えてもらううち、仲良くなっていく。

なんて温かい話なんだ。

自分に自信がなくて目立たないタイプの高校生うららと、
新しいことには積極的に流されにいく好奇心旺盛な老婦人の雪。

自分はどちらかというとうららみたいなタイプではあるけど、
雪のような人間になりたいと思っている。

なんせ、ポジティブだし、好奇心旺盛で、行動力があるし、
品があって、歳下に対しても丁寧な態度だし、
誰のことも嫌な気持ちにさせない振る舞いでいて、さらに、お茶目だ。
(スマホを問題なく使いこなせているのもイイ。)

私に絶対的に足りないのは、ポジティブさ。
本当に気をつけないといけないと、強く強く思った。

ボーイズラブであることは、たまたま二人の共通の話題がそれだっただけで、物語の本質ではない。
何にハマったっていいし、夢中になれるものがあることは素敵だし、
そういうことを表に出すことが、自己表現として当たり前になりつつある世の風潮はある。

そして、夢中に、不器用でも真っ直ぐに進もうとする姿は、
見ていて応援したくなるし、元気をもらえる。

暇つぶしに見に行った感じではあったけど、かなり良い映画だった。

冒頭のシーンで、エキストラはマスクしてなくて、
後方に映り込んでる人たちがマスクしてたところが、
あぁ期せずして時代を写り込ませてしまったか、、と思った。

https://metamor-movie.jp/

『メタモルフォーゼの縁側』
原作: 鶴谷香央理 「メタモルフォーゼの縁側」(KADOKAWA) 
脚本: 岡田惠和 
監督: 狩山俊輔
出演: 芦田愛菜, 宮本信子, 高橋恭平(なにわ男子), 古川琴音, 生田智子, 光石研, 汐谷友希, 伊東妙子, 菊池和澄, 大岡周太朗


Posted 2022.06.19, 17:38 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2022.05.28

トップガン マーヴェリック

問題を起こして組織から離れていた凄腕パイロットのマーヴェリック。
超難関極秘ミッションの教官として、再び戻ってくることになった。
若手エリートの中にはかつて命を落とした相棒の息子がいた。

いやー、過去の栄光を引っ提げたシニアが戻ってきたっていったら、
あの若手たちのように、反発するのが当然だろう。
そこで、実力を見せつけて、一気に従えていくというのは、THE ヒーロー。

実際にはそういうことができる人もいないから、反発のまま終わるだろうに。
しかも、場をかっさらって終わるんじゃなくて、ちゃんと育てようと必死なのもイイ。

やっぱトムクルーズはこうじゃなきゃね、ってのと、これぞヒーローってのと、
スリルと、ちょっとした笑いと、いろいろあって、とにかく楽しい映画だった。
思ってた以上にずっと楽しめた。

https://topgunmovie.jp/
トップガン マーヴェリック
2022年製作/131分/アメリカ

Posted 2022.05.28, 18:04 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2022.05.06

北海道で育ち、中学生のときに知り合った蓮くんと葵ちゃん。
虐待されてる葵ちゃんを守ろうと決めた蓮くんだったが、
その願いは中学生には叶えられず、離れ離れになってしまう。
大人になってから、何回か偶然に会うが、タイミングが合わずにすれ違ってしまう。

高速バスの帰りで見ようと思ってダウンロードしていった映画だったが、
こういう泣く映画は外で見ちゃいかんと、反省。。

中学生のときの蓮くんは可愛い系で、大人になると菅田将暉だからシュッとして、
なんというか、連続しないところが不思議なキャスティングだったけど、
葵ちゃんのほうは、どっちもミステリアス系でつながってたな。

それぞれが必死に生きてるだけなのに、というか、だけだから、
タイミングが合わなくて、思い通りに行かなくて、
普通に生きるということがどれだけ大変なことなのか、思い知らされる。

”普通” ってなんなんだよな。


2時間10分 2020
監督    瀬々敬久
出演    菅田将暉, 小松菜奈, 榮倉奈々


Posted 2022.05.06, 20:58 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2022.04.29

C’MON C’MON

ニューヨークでラジオジャーナリストをしているジョニーは、
妹が別居中の夫に会いに行く間、甥っ子ジェシーの面倒を見ることになった。
繊細でちょっと変わり者のジェシーに、子育て経験のないジョニーは戸惑う。

ジョニーは仕事で、子供たちに未来のことなどを日々インタビューしている。
そこでの子どもの心の叫びのような、真を突いた言葉と、
ジェシーの言葉とが重なり、ジョニーはなるべく真摯に向き合おうとする。

なのに、子どもというのは思いもよらない行動をとるし、
ジェシーは9歳で、そんなに素直に言うことを聞く年齢でもない。

どっちが大人なんだと思うくらい、
ジェシーとジョニーの落ち着きっぷりが逆転することもある。

そういう姿を見ていると、大人も子どもも変わらない、と思う。

子どもの頃なんて、大人になったら全くの別の人間になると思っていたが、
実際には、大人になるにつれて、経験を積んで視野が広がる部分はあるにせよ、
元来持っていた素直な思考が汚されていくほうも多くて、
プラマイしたら純度が下がっただけ・・・

そんなことに気付かされた映画だった。

もちろん、経験を重ねること自体は良いことだと思うけど、
人間が本来感じる気持ちをもっと大事にしたいし、
人と向き合うときは、ちゃんと人間として、人間らしくいたいなと思った。

子育てしてる人が見たら、子育て映画だと思っちゃうのかもしれないけど、
わたしにとっては、汚い大人にならないように気をつけないとなと反省する映画だった。

『カモン カモン』 (原題:C’mon C’mon)
監督・脚本/マイク・ミルズ
出演/ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
音楽/アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)
2021年/アメリカ/108分/ビスタ/5.1ch/モノクロ/日本語字幕:松浦美奈


Posted 2022.04.29, 17:40 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2022.04.03

コーダ あいのうた

家族の中で自分だけ耳が聞こえるルビーは、小さい頃から家族の手話通訳をしてきた。
ルビーは高校生になり、気になる男子が選んだ合唱部に入部。
ひそかに歌うことが好きだったルビーの歌には魅力があり、音楽大学への挑戦を勧められる。
しかし、漁師である家族の手話通訳をする人がいなくなるため、葛藤する。

手話がこんなにも感情豊かに伝えられるんだと、
言葉なんだしそりゃそうなんだろうけど、そっちの世界もすごいなというのが率直な感想。
音はなくても、うるさいくらいに、コミュニケーションが活発。

でも、歌となると、しかもその上手い下手なんて、全然わからないわけで。
音がなくなったとき、それを実感して、あぁ自分は何もわかってなかったんだなって思った。

自分がいないと家族が・・・という気持ちと、でも自分の人生は・・・?という気持ちと、
その両方がよく理解できるだけに、辛いし、感情のぶつかり合いで涙出るし、
感情が忙しくて大変な映画だった。

親のほうも、心配なのと、傍にいてほしい気持ちとゴチャゴチャなんだろうけど、
やっぱり子どもの幸せを願ってるし、わかってはいるんだよね。

聞こえないことだって自分ではどうしようもないし、
周りがみんな聞こえなければ、自分だって特別扱いされずに済むわけで。
マイノリティであるが故の辛さ。

分かり合いたい気持ちに飲み込まれた。
すごい映画だったし、アカデミー賞作品賞も納得。
お父さんが助演男優賞で、さらに脚色賞受賞か、すごいわ。

題名の“CODA”は、
“Children of Deaf Adults”(耳の聴こえない両親に育てられた子ども)
だそうだ。

https://gaga.ne.jp/coda/
監督 シアン・ヘダー
出演 エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン


Posted 2022.04.03, 18:48 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2022.02.13

君の名前で僕を呼んで

北イタリアの避暑地で家族と過ごす17歳のエリオ。
父は大学教授で、学生のオリヴァーがアメリカから助手としてやってきた。
最初はアメリカ人的な振る舞いに反発を感じていたが、次第に彼に惹かれていく。

音楽と文学を愛するエリオと、文学と考古学かなんかを学ぶオリヴァー。

知識や教養に惹かれていき、男性を好むというのは、
昔の知識人にも多かったとも聞くし、だから家族も受け入れやすかったのかな。

男性とか女性とか、そういう枠を超えた先の部分で惹かれ合うのは、理解できる。

そして、期間限定でやってきたオリヴァーとは、必ず別れが来る。
その辛さは男女関係ない話であり、痛いほどに理解できるし、喪失感に飲み込まれそう。

一夏の恋と言ってしまえばそうなんだけど、
他の人になかなか理解されない関係だからこそ、尊い関係だっただろうし、
離れ難いし、別の道を選ぶことも理解できてしまうところもまた辛い。

君の名前で僕を呼んで(字幕版)
監督    ルカ・グァダニーノ
出演    ティモシー・シャラメ, アーミー・ハマー, マイケル・スタールバーグ


Posted 2022.02.13, 16:47 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2021.09.05

恐竜が教えてくれたこと(字幕版)

家族でバカンスを楽しむために海辺の街にやってきた少年サム。
浜辺で兄が骨折してしまい、街の診療所に行ったり、一人で留守番したり。
そんな中、街で出会った少女テスと仲良くなり、テスの父親についての秘密を知る。

子どもが好奇心のままに海辺と街を駆け回ってる間に、
いろんな人に出会い、巻き込まれ、考えて、感じて、経験して、思い出を作っていく。
子どもが子どもらしいのもあってか、その心の成長物語に引き込まれていく。

一人でいることに慣れる訓練って、その考えがおもしろいな。

悲しい思い出を作らないために他人と関わらずに一人でいることと、
いざ一人になったときに寂しくないために、たくさんの良い思い出を作ること。
相反するけど、どっちの感情もとてもよくわかる。

私は大家族で育ったせいか、一人の時間が嬉しかったと思うし、今でもそっちのほうが楽。
でも、自分が心を許した人であれば、一緒にいる時間が良い思い出になる。
結局は、誰と一緒にいるか、だよな。

邦題がダメなパターンの映画だけど、内容はとてもよかった。
原題は My Extraordinary Summer with Tess.

恐竜が教えてくれたこと(字幕版)
1時間24分 2020
監督    ステフェン・ワウテルロウト
出演    ソンニ・ファンウッテレン, ヨセフィーン・アレンセン, ユーリアン・ラッス
ジャンル    ドラマ

Posted 2021.09.05, 16:01 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2021.04.24

るろうに剣心 最終章

待ちに待った『るろうに剣心 最終章 The Final』を見てきた。

コロナがまた増えてるので、人が少ないときに見たかったけど、
土日なんか絶対若者がわんさか騒いで危ないだろうと思って、
平日のレイトショーを決行。

席は半分くらいの埋まり具合で、まだマシだったんだろう。
コーヒーを飲んで行ったおかげで、眠くならずに済んだ。


るろうに剣心、漫画を読んだのはだいぶ昔だし、
映画の前の作品もけっこう前だったので、あんまり覚えてない。

でも、なんとなくの人間関係は覚えてるし、世界観はバッチシ。
ということで、始まってすぐに楽しめた。

悲しい切ないストーリーだったので、気持ちとしては陰鬱で辛かったけど、
やっぱり実写でこれってすごいよなぁと思うほどに、
新田真剣佑がマンガな顔立ちですごかった。

伊勢谷友介の蒼紫もマンガだし、瀬田宗次郎も、
みんなほんとハマり役だよなーって、感心しながら見てた。

でもやっぱり、悲しいストーリーは悲しい。
そして滅多に飲まないコーヒーだから、効きすぎてまだ眠くない。。


Posted 2021.04.24, 00:21 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2021.04.17

ノマドランド

リーマンショックで企業が倒産し、街が潰れ、
行く当てのなくなったファーンはバンに荷物を詰めて生活を始めた。 
60代女性ではあるが、短期の力仕事をして生活費を稼ぐ日々。

同じようにバンライフを送る人々と出会い、交流するが、
深入りすることはなく、自分の人生を生きていく。


ということで、現代における本当のノマドの話だった。
内に秘めた悲しみと、静かな力強さがあった。

旅、というか、生活の途中で、放浪する若者たちとも遭遇する。
彼らは夢を追っていたり、自分探しだったり、ちょっとキラキラしている。

彼らと、必要に迫られて車上生活を送るようになった高齢ノマドたちは、
やっていることは似たように見えても、気持ちが全然違う。

高齢ノマドたちは、世の中から切り離されたり、離れていった者たち。
日本で土手で暮らしてるホームレスとも近いものがある気はするが、
ただ、自分で築いた生活のベースがあるので、そこに対するプライドもある。

少し仲良くなると、家族のもとへ帰ってしまったり、
どうしてもお互いに壁を越えられない関係。
そうすることを選んだ人たち。

ただ、人間が嫌いなんてことはない。
ただ勇敢で素直なだけ。
そういったファーンの姉の言葉が強く刺さった。

ノマドという言葉にキラキラさは微塵もなく、
自由と引き換えにしたものがあることが強く描かれていて、
リアルさを痛いほどに感じたが、実際のノマドが多数出演していて、
いわばドキュメンタリーのような映画だったのだと、後で知った。

Posted 2021.04.17, 19:37 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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2020.12.28

風をつかまえた少年

マラウイの田舎で暮らすウィリアムは、ラジオを修理したり、機械いじりが好き。
念願の学校に通えるようになり、先生の自転車のランプで電気は作れると知る。
干ばつで餓死する人が多い中、祈祷でどうにかしようとする文化の村で、
電気を使ってポンプで水を引くことを計画し、発電機を自作する。

実話ベースというのがスゴイなと思う。
ついでに、井戸には水があるのに、畑に撒いてなかったのは何で?とも思う。

大人たちが、短絡的な思考回路で、目の前のことに今できることしかしないから、
水を汲んできて撒くなんて考えなかったのか?んー。

政府が食料を配ってくれるのを待つという考え方だし、
やっぱり何も考えなかったんだろうな。

で、そんな大人に長期的視点が全くない村で、
発電機を作るなんて発想を信用してもらえるはずもない。

学校だってお金のある人が行くところであり、
学習したことを何かに活用するという考え方もなくて、
ただ、学校に行っておけば就職できるらしいという理由で存在してるだけ。

学んで、身につけて、活用する。
それができたのは、学費未払いで退学させられたウィリアムだけだったのだ。

ちゃんと小さい仕組みで試してから、大きいものを作るという、
ちゃんとした考え方を持っているところが素晴らしい。

発電機を作るって言ったって、その部分は自転車のものを流用してるだけで、
自転車を漕ぐ部分に風力を使っていて、自動化したということだ。

そうすると、知識というよりも、活用する力や行動力の話。

考えることをやめた大人たちに囲まれていたら、それが難しいのもわかる。
村にウィリアムがいてよかったね、と思うのみである。

風をつかまえた少年(字幕版)
1時間53分2019
監督
キウェテル・イジョフォー
出演
キウェテル・イジョフォーマックスウェル・シンバリリー・バンダ

Posted 2020.12.28, 18:29 by mera and filed in ☆☆☆☆☆
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