Speaker
1.原理
スピーカーには固定された永久磁石と移動する電磁石が使われている.電磁石はコイルに電流が流れることで作られる.コイルに流れる交流電流(電気信号:+−が周期的に変わる)が,磁石のNSの方向を(周期的に)変化させる.2つの磁石が引き合ったり,退け合ったりしてコイルを振動させる.コイルに付いたコーン紙が疎密波(音)を作り出す.
2.種類
A.振動板
B.ホーン
エジソンがレコード・プレイヤーを発明したときからある,最も古いタイプ.先が徐々に広がっている形状により,狭い部分での高圧力を,広がった口の部分にいくに従って低気圧へと変圧している.
フレアの広がり具合によって周波数特性・指向性が異なる.
- エクスポネンシャル・ホーン
- 定指向性(コンスタント・ダイレクティビティ)・ホーン
- マルチセルラー・ホーン
- アコースティック・レンズ・ホーン
C.ユニット
- フルレンジ :全域用・コーン型
- ウーファー :低域用・コーン型,(ホーン(ローディング)型)
- スコーカー :中域用・コーン型,ホーン型
- トゥイーター:高域用・ドーム型,ホーン型
D.クロスオーバー
可聴帯域全域(20Hz〜20kHz)を聴くために最適な方法は,再生する音の周波数に合ったスピーカーを使うことである.周波数ごとに合うスピーカーが違うので,
- アンプからの音を周波数ごとに分けて再生.
- 音を周波数ごとに分けてからそれぞれをアンプに送る.
…という方法がある.周波数とは,簡単に言うと『音の高さ』である.
- パッシブ(ハイレベル)クロスオーバー
- ネットワーク
アンプからの高レベルの電流をスピーカーにいったん取り込み,それから周波数の帯域を分ける.クロスオーバーポイント(高域,中域,低域を分ける周波数の境界点)はメーカーによって定められたものとなる.
- アクティブ(エレクトロニック)クロスオーバー
- チャンネル・ディバイダー
アンプの前に使われる.音の周波数帯を分け(高音・中音・低音など),それぞれ別々のアンプで増幅する.効率がよく,好みのクロスオーバーポイントを決めることができるという利点がある.
E.エンクロージャー
エンクロージャー(箱など)がないと,音がほとんど聞こえない.スピーカーは空気を前後に振動させることで音を作っている.スピーカーの前面に生じる波と,背面に生じる波は位相が正反対(空気の濃い・薄いが逆)であるため,相殺(フェイズ・キャンセレーション)してしまうからだ.それを防ぐために以下のようなエンクロージャー(箱)がある.
- 平面バッフル
前面と背面とを隔てる.壁に埋め込んでしまうなど.
- 後面開放型
平面バッフルと同じ原理.後ろの開いた箱型.ギターアンプなど.多少フェイズ・キャンセレーションが起こるがギターの音の周波数より低いところでのことなので,影響は少ない.
- 密閉型
背面の音を外に出さないで,箱に閉じ込めてしまう方法.背面の波の圧力でコーン紙が動きにくくなり,非効率的.
- バスレフ型
背面の波は後ろにぶつかって反転(位相が逆になる).それから前へ出てくるので,前面からの波と同一位相となり,強め合う.効率的.
- フロント・ロード・ホーン型
ホーンを使ったバスレフ型.前面波はホーンから,背面波はポートから.遠達性がある.
- バック・ロード・ホーン型
背面波がホーンから.主に楽器用.
- フォールデッド・ホーン型
フロント型とリア型がある.ホーンを折り曲げ,長くしたもの.ホーンが長くなるに従い周波数特性が低くなる.
3.スピーカーに関する用語
- 定格入力
長時間連続して動作させても異常を生じない入力の最大値.
- 最大入力
短時間スピーカーに加えても損傷を与えない入力の最大値.
- インピーダンス
ボイスコイルの電流の通過を妨げる量を測定したもの.
インピーダンスが高くなると,電流をスピーカーに流すためにより高い電圧が必要となる.インピーダンスが低くなるとアンプはより多のパワーを出す.低すぎるとアンプがオーバーヒートしてしまう.
- クロスオーバー周波数
クロスオーバー・ポイント(高域,中域,低域などを分ける周波数の境界点)の周波数.
4.補足
- スピーカーコード
シールドがない.抵抗値を低く抑えるため.
この時点でシステムに進入したノイズは増幅されないので,信号には影響しない.
- コントローラー802C(アクティブ)
ボーズ802/302用のイコライザー.