2006年3月17日の夜から沖縄へ行き,18〜21日の3泊4日,再び漕店のシーカヤックツアーに参加した.(前回はこちら)
前に行ってから10ヵ月,再び行きたいという気持ちが続いていた.冬になってますます,暖かいところに心惹かれていたのもある. 会社の同期で旅行・アウトドアが好きな人がいて,年賀状のときに「行かない?」って聞いたら「行く」ってことで一緒に行くことにした.
仕事もバタバタしているときだったので,会社の方々には行くことを告げなかった.お昼に同期数名に話したくらいだ.だからお土産も特に買ってないよん.泡盛を買ったのでうちに来てくれたら一緒に呑もう! (会社の方に限らず). そのときは鯨を見られるかも…って話をしたら,クジラの大きさが話題の中心になった.シロナガスクジラ34mが一番大きい鯨らしい.しかも鯨は恐竜よりも大きいらしい.そんなことを知ったのが前日のこと.
前回とは違って,今回はツアースケジュールのページに「慶良間周遊=フェリーで渡嘉敷に渡ってツアースタート(初心者〜)」と記してある.ということは,横断はしないわけだ.それだけが安心材料. そして(鯨)と記してあるように,1〜3月はザトウクジラが近海で子育てをするらしく,シーカヤックからも見られることがあるらしい.鯨を近くで見たらどんな感じだろう…
とまりん港からフェリーで渡嘉敷島へ渡る.いきなりフェリーの船内放送が入り,クジラが近くに見えるとのこと.慌ててデッキへ行って眺めると,いた〜!!! 最初は遠かったが,船が近づいて行ったのか,真横にいるときは100mくらい(?)の距離だった.ブローも尾ビレも見えたし,手(?)も何回もバタバタしてくれた(威嚇行為らしいけど…).なかなかのパフォーマンスに大興奮!! (でも写真撮るの忘れたのでこちらをどうぞ)
渡嘉敷に着いて,島の西側にある青年の家というところまで車で移動.海を見ながらお昼の弁当を食べているとき,遠くのほうに鯨!! また見ちゃった.見すぎ.遠かったけど,こんなにたくさんいるものなのかということに驚いた.
今回のメンバーは,ガイドさん(大城さん・酒井さん)が2人,我々2人,探険隊の隊員があと2人,リベンジ組3人(うち1人は前回一緒だった),あと沖縄在住の1人.計10人の大所帯.
隊員2人か我々か,どっちかがタンデム艇で,どっちかがバラけてガイドさんと組む.前回お世話になった大城さんが私をジーッと見て,そして我々がガイドなしに決定.2人で組んでタンデム艇(2人乗り)に乗ることになる.運命の分れ道. そして今度は我々のどっちが前でどっちが後ろかを2人で決めるわけだが,「後ろはエンジン」と言ったら彼女は嫌がり,私が後ろを担当.この選択肢だったらこれは正解だったと思う.
そしていざ出陣!!
漕ぎ出してみると,こんなにもタンデム艇は重いものかと,かつて自分の経験した重さではない重さだった.後ろだから? 前が弱いから? 以前シングル艇を漕がせてもらったときはこんなに重くなかったぞ…と重いながら,とにかく皆に置いて行かれないよう,いちばん後ろで最初っから必死. ラダー(舵)をまともに操作するのもほぼ初めてで,慣れない.ラダーはカヤックの尻尾みたいなもので,足でペダルを踏んで操作するのだ.ちょっと踏むと左右に大きく曲がってしまう.自分ひとりじゃなくて,二人分の命がかかることを考えると,責任も感じた.
予定では1時間半ほどで着くはずだった.しかーし!! 進むのが遅いのと,天気が崩れるのが早かったのとで,えらいこっちゃ.潮の流れが強く,ただでさえ北側に流されてしまうのに,大雨が降って来て,波も高く,強く吹いていた風の向きが変わって逆風になる….悪条件ばかり.
進行方向の目標と言われた建物はいつまで経っても大きさが変わらず,全く近づいていないことに愕然.しかも途中からモヤが出て,目標が見えなくなり,ただでさえラダーの操作が不安定で方向が狂うのに,目標不明でさらに方向が狂う.
シングル4艇とタンデム1艇(酒井さん号)が先に行ってしまい,私の乗るタンデム艇がビリ.大城さん艇がこっちの様子を見ながら少し前方にいてくれた.そして「一生のお願いだから,必死で漕いで!!」「笑わないで真剣に!!」「レスキュー呼ばなきゃいけなくなっちゃうよ!!」と必死に声をかけてくれる. 内心「またレスキューか…」と思いつつ,言われるまでもなく私は必死.超必死で漕いでも全く進んでないことと,流されていることを実感していた.一人で二人分をちゃんと漕げればよかったのだが,そこまでカバーできず….
予定より1時間ほど遅く,目的地に到着.あとで聞いたところ,私がジグザグ走行をしていたことも原因だったらしい.気をつけていたのだが,波と風で真っ直ぐ進めなかった.ごめん….前側の漕ぎ方やパドルの持ち方など他にも原因があることは後でわかったが,現場はそれどころじゃなかった. 翌々日に聞いたところ,このとき大城さんは牽引用ロープをスタンバイしていたらしい.それはそうだよね….あそこで流されたら島がないので,どこまで行くことやら….怖い.
ようやく座間味の浜辺に着いて,疲れ果てる.すでに筋肉痛か肩こりか,身体がガチガチだった.グローブをしていたが,左手に1つマメができていた.やっぱり今回も初日がいちばん大変なんだな.
あとは飲んで,テントを張って,食べて,飲んで,みんなで自己紹介して,食べて,飲んで….雨はやんでいたが陽は射さず,3月の沖縄は寒いものだということを実感.夜は焚火を囲んで暖まる.
また天気が悪い.特に風が強いらしい.その様子を見に行こうと,午前中は散歩.途中で採ってくれたヤマモモを食べたり,誰かにエサを与えられてる猫の大軍に会ったり,異臭を放つ海亀の死骸を見つけたりする.キャンプ地は風裏なので穏やかで,先ほど見た波が嘘のよう.戻ってから飲んでグダグダしかけた.
2日目にしてもう「帰ってきた」気分だった.還った気分.海辺でキャンプして,漕いで,飲んで,食べて…というセットが,懐しく,そして心地よかった.そうしていることが,とても自然だった.
波が高いということは確認できたが,それでも行くか留まるかを投票.全員一致で進むということになり,出発.
ラダーの操作に気をつけながら,天気の様子を見ながら進んで行く.途中で上陸して,大城さんが私に波の状況を説明.いちばん進むのが遅い我が艇が,そこを行けるかどうか,自分の力量から考えてみてくれと言う. 波と風は昨日と同じくらいということだったので,まだジグザグ走行が続いているか聞いたところ,それはもう大丈夫になっていると言われ,それならば行ってみると告げた.
しかし,いざ次の島へ渡るというとき,やはり断念したようで,進路変更の指示.思ったより風が強くなっていて,逆風になる地点(青線の最後の部分)はもうムリだろうと判断したそうだ.
街に寄ってアルコール類など買い出しをして,別の島(安室島)へ渡る.阿嘉島へは渡れず.
ちょっと天気が良い.朝食のとき,海を眺めていた大城さんが鯨を発見.それからしばらく皆で海を見つめ,クジラを探す.そして何度か見かけることができ,嬉しい.今日はカヤックからクジラを見るぞ.
渡嘉敷島の南のほうでキャンプをすると言っていた.そこへ向けて漕ぐ途中,渡嘉敷島に別のツアーグループがいたので立ち寄る.仲間のツアーグループらしく,一度買い出しも兼ねて上陸し,ガイドさん同士で話していた. 買い出し組が戻って来たら,そのグループはすでに出発していた.この時間差が運命の分れ道.
クジラのウォッチング船がたくさん出ているということで,クジラを見るためにそちらに向かって進む.肉眼でクジラを探すのはとても難しいので,ウォッチング船を目安にするのだ.
ウォッチング船の辺りを見つめながらしばらく漕ぐと,ものすごく遠い位置に,クジラが見えた! 頑張って近づこうとするが,なかなか距離が縮まらない.先に出発していたグループは,ウォッチング船と同じくらいの位置にいるようだった.ということは,ものすごーく近くでクジラを見ているはず.羨ましい.
諦めきれず,船を追いかけるのをやめた後もしばらく,クジラを探す.そしたらちょっと近い位置でクジラの背中が見えた!! 諦めかけていたところだったので,皆で喜ぶ. ウォッチング船もこのクジラを見つけたらしく,ダッシュで近づいて来た.それからそのクジラは姿を見せなかった.
ウォッチング船を見てクジラがいそうな位置を探すのだが,いざクジラを見つけてからは,動力船が来るとエンジン音でクジラが逃げると言って,ウォッチング船を嫌う.我々はワガママ〜.
諦めて,渡嘉敷島のキャンプ場に向かう.着いてから,今まででいちばん良い天気.そして暑いくらいに陽が射している.今しかない,泳ごう!!
せっかく持ってきたのだから…と思い,全身潜らないまでも,海の中を見ておこうと思い,水中マスクを片手に磯を歩く.顔だけつけて海の中を見ていたが,波で少し身体が濡れると諦めがつき,潜って近場をグルッと廻ってみた. 魚の種類に詳しくないので,いろんな魚がいるなぁというくらいにしかわからなかったが,綺麗なのもいたし,満足.
水から出ると寒くて,また水に入る.でも寒くて出て,今度は身体を乾かそうと太陽を浴びる.そんなことを繰り返すうちに,昼寝をしていた人も薪拾いに行った人々も,みんな海に入ってた. こういう日が1日あっただけで,嬉しい.
マガキ貝やタコなど,この日の酒のツマミは豪華だった.
朝,大城さんがお客さんの結婚式に顔を出すということで,一人カヤックで先に帰る.酒井さんのお手伝いとして朝食後の鎬を洗っていたら,手が真っ黒.これまでになく,ホントの真っ黒.(ツアー後に数回は石鹸で洗ったがまだ取れない…) 石鹸のない状況で油汚れは強敵だ.
この浜に来て,ようやくヤドカリを発見.大きめのヤドカリばかり,ちらほらいた.GWのときのようにウジャウジャいないと,それだけで寂しく感じる.
最終日なのでクジラを見たかったが,天気が悪く,ウォッチング船も見えない.ちょっと離れ小島に渡って,クジラを探すことにする.急勾配を登って,山の高いところへ行くのがロッククライミング風で楽しい. 上からしばらく海を見つめていたが,見えなかった.残念.
そしてスタート地点と同じ,渡嘉敷の青年の家に戻る.片付けをして,シャワーを浴びて,カヤックはお終い.
車で移動して,お弁当と麦酒.そしてヤマモモを探しながら,クジラ展望台を廻り,16:00のフェリーで那覇に戻る.このとき,WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で王JAPANが優勝したことを知った.
※ これらの地図は白地図 KenMapを使って作製したものに,GIMPで線を書き加えた.
とまりん港に着いてから,元祖 で〜びるで飲もうということになる. 漕店まで行って荷物を降ろしてから,郵便局に寄ってもらい,で〜びるにて大城さんや結婚式に行ってた方々と合流.結婚式の写真を見せてもらったが,琉装がイイ感じ.素敵だ. 沖縄の料理をちょっとずつたくさん戴いたところで,飛行機の時間が迫ってきたので,帰る組は酒井さんに空港まで車で送ってもらう.
「また来ま〜す!」なんて普通に言ったけど,ホントにたぶんまた来る.自分の中ではわかってる.
次に来るときは暑いときがいいな.
空港で買った今回のお土産は「琉刻」という泡盛.まだ本島にはないものらしい.どんな味がするんだろう.
カヤッカーとして成長したい,もっと自分でちゃんと漕げるようになって,シングル艇を漕ぎたい.そんな気持ちがある.カヤックで波に乗りたい,そんな気持ちもある.また,綺麗な海に身を漂わせ,日光に射されたい,そんな気持ちもある.
海の上という,ちょっと間違ったら大変なことになる場所.ちょっと前までは縁がなかった.縁がないから,苦手意識があった. ちょっと前に,1年ほど前にメキシコに行ったときからだろうか,それがキッカケで好きになった.
まだまだ初心者なのだ.知らないことが多いので,この体験が私に与える影響はまだまだ大きい.感じるものを素直に受け止めたい.好きなものに向かって,素直でいたい.自然とそうできる場所がここなんだと思う.
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