そう春休みに経験した.しかしそれは1度ではなかったのだ(笑).其の壱での経験は大学2年生の春休みである.
1年後,やはり春休みになって短期バイトを探していた.そこで思い立ったのが警備員.去年儲かったし,勤務日程は殆ど希望通りになることも確認済み. しかし既に退職している.他の会社にしようか,とも思ったが,別に悪いことをして辞めたわけではない.同じ会社のほうが勝手がわかっているので気が楽だろうと思い,会社に電話をかけた.残念なことに,やはりもう一度研修を受けなければならないらしい.一瞬ためらった.しかし他のバイトを探すのも面倒だったので,もう一度受けて立つことにした.
これほどまでに無駄な時間というものが存在するのか…! 全て研修内容を覚えていたので,眠くて仕方ない.しかも研修4日目の人より理解しているため,初日からよく当てられる(…小学校の授業のようだ).当たり前だが寝られない.なるべく意識を遠いところへ飛ばして,何とか4日間乗り切った.思えばこの研修が最も辛いのではないか?
研修が終わった.形の上では研修が終わったばかりの初心者.楽な仕事を回してもらえるだろうと高を括っていた.「経験者だよねー」と指示されたのは1名での孤独な勤務.まぁ内容は楽だったので良しとしよう.しかし勤務は急激にハードになっていった.突然2名勤務になって,ヤな予感がした.…そう,片側交互通行だ.しかも産業道路.大型トラックばっかり,ガンガン走ってる.こいつらを止めるのか….
まだ死にたくないので気を抜けない.朝8時半から規制をできる道路だった.その時間は工事用トラックと通勤車両で非常に交通量が多い.で,気が立っているらしい.すぐにクラクションを鳴らしてくる.酷い人は窓を開けて怒鳴ってくる.説教を始めてくる人もいる.…全ての車を通すわけにはいかんのだー! 止めると怒鳴る人がいるし,かといって車を選んで止めるような道路じゃない.難しい現場だ.普通は大型車は停止しにくいのであまり止めないのだが,大型車が多いので仕方ない.
ここでわかったことは,かなり主観ではあるが,大型車は優しい,高級車はイライラしやすい,ということである.工事関係の大型車は同業者が作業をしているからだろう,普通に止まってくれる.高級車は偉い人の通勤中なのだろう,なんか急いでいて怖い.この時間じゃなければ高級車でも印象が変わるのだが.そんな分析も役に立たず,徐々に辛さばかり感じるようになっていった.
学校が始まり,あまり勤務につけなくなった.勤務より研究室を選んだ(当然だが…).そして1ヶ月に1回程度しか勤務しなくなった頃,会社から電話が来た.「辞める御意志はあるんですか?」 無理して続けようと思えなかった.質問が変だもん.「働く御意志はあるんですか?」が普通だろう.休職か退職かを選ばせてくれたのだが,とりあえず一度制服を返してくれと言われたので,会社に行った.少し悩んだ.今度辞めたら終わりだろう.しかし曲がりなりにも2年やった.もういいやと思い,そのまま退職した.
普通のバイトではなかった.貴重な体験だったと思う.それだけでいい.
…こうして警備業を終えたのだった.
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