交通誘導警備,俗に言う「ガードマン」のバイトをしていた.
春休みに短期のバイトを探していたら,やたら目に付いた.普通の大学生が,やってみよう!と気軽にチャレンジするような職種ではない.ただ私がバイトを選ぶ条件はキツイかどうか,より,自分に都合のよい日程で働けるか,地味な仕事であるか,ということである.警備員の仕事は,少なくともこの2つの条件を満たしていた.
面接はあってなかったようなもの.すぐに研修が始まった.まずここで異次元空間を体験することとなる.研修初日から制服に着替え,憲法や警備業法の勉強,外での動作練習を4日間続けた.右向けー右!回れ右!気をつけー!教官に対して敬礼!!と軍隊形式の練習(教練)を鳩の羽ばたく公園で行なった.時代が違う…. 知り合いに見られていないことだけを心の支えに,思考を殺して研修期間(4日間)を終えた.
バイトができる時間は限られていた.だから短期バイトを探していたのだ.そのため研修終了後すぐに勤務を希望した. まず手始めに簡単なところ,ということで最初は北鎌倉での歩行者誘導.ベテランの男性1人と同年代の女の子が1人の3名勤務で,難しいことはベテランがやってくれたので,ホントに歩行者しか相手にしなくてよかった.裏道にずーっと立っていて,歩行者が通るときに「歩行者通ります!」と言って,工事のおっちゃんに重機を止めてもらうのが仕事である.…ひたすら暇だった.なんせ道が細くて,もともと車は通れない.脚の痛さだけを我慢していればよかった.しかし長い間そこの現場で,しかも現場の人たちが気さくな人ばかりだったので,次第に仲良くなり仕事が楽しくなった.孤独感がなくなると楽になるものだ.
道路舗装をずーっとやっていたのだが,勤務に慣れた頃に表の通りを片側交互通行(通称:片交)することになった.初めての経験だったが,組んだ相手は勿論ベテラン.相手に合わせて車を止めたり,進ませたりするだけでちゃんとできた.ありがたかった.こうして歩行者と車両の両方を相手にすることができたころ,工事が終わりその現場を離れた.
残りの春休みはいろんな現場を転々とした.殆どの現場が,車がたまに通る道での通行止め・片側交互通行であった.通行止めは意外に楽.説明したり謝ったりして,ただ車を通さなければいい.片交も経験済みだったので,さほど苦もなく日々の勤務をこなしていた.
そうして春休みが終わった.週5日の授業と土日のサークルで時間が埋まるため,もうしばらくバイトはできない,ということで退職した.たまに勤務につける土日は駐車場警備という嫌いな仕事だったので拒否.毎週1回は勤務につく,という決まりが守れないので辞めたのだ.
結局辛かったのは,朝起きることと,冬の寒さ.遅くとも朝8時には現場にいなくてはならないので,6時起きが普通.そして,勤務していたのが2・3月である.1日中外にいるもんだから寒い.あとは暇なのが辛かった.結局,「思ったより普通」なバイトだった.
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